医長 松本賢治

 新型コロナウイルスは、昨年末から中国の武漢市を中心に発生している原因不明の肺炎を引き起こすウイルスと考えられています。1月15日には日本国内で、原因不明の肺炎にかかっていた男性から初めて新型コロナウイルスが検出されました。2月5日時点では、21人が確認されています。

 世界全体でみると、中国国内で2万4324人、中国外で211人から新型コロナウイルスが検出されており、うち492人が亡くなられています。1月31日には、WHO(世界保健機関)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言するなど、刻一刻と状況が変わると同時に各国においてさまざまな対応がなされ、この記事が掲載される頃にはさらに状況が変わっていると思われます。

 コロナウイルスは、冬風邪の原因の一つで、ほとんどの子どもが6歳までに感染を経験します。また、動物から感染し重症肺炎を引き起こす2種類も知られており、これがニュースにもなったSARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)やMERS(マーズ:中東呼吸器症候群)です。

 今回見つかったのは新型のため、現時点で確実に分かっていることは少ないですが、いわゆる風邪と同じようにくしゃみや咳、接触でうつる可能性が高いと考えられています。高齢者や病気を持っている人の中には重症化する人もみられるようです。症状は普通の風邪と同じで、熱や咳、体のだるさなどです。

 大切なことは、風邪にならない、あるいは、うつさないためにマスクや咳エチケット、手洗いをすることです。中国の湖北省へ行った人、あるいは行った人と接触し14日以内に風邪症状が出た人は医療機関への受診をおすすめします。