島根大学医学部附属病院研修医 宮島伸枝

 8月の1カ月間、飯南病院で研修させていただいた島根大学付属病院研修医の宮島伸枝と申します。病院でお会いした皆さん、覚えておいででしょうか?

 私は県西部の津和野町出身なのですが、飯南町の豊かな自然にあふれた景色が地元によく似ていることに懐かしさを覚えながら1カ月を過ごしました。研修開始から約1週間は、慣れない環境と事務作業に戸惑う日々でしたが、飯南病院をはじめとする皆さんに優しく手を引いていただき、大変充実した1カ月を送ることができました。ありがとうございます。

 さて、研修にあたり「何か健康コラムを」と依頼され、何を書こうか迷っていたのですが、せっかくなのでこの1カ月に外来でよく見かけた帯状疱疹、いわゆる「どうまき」のことを少し書かせていただこうと思います。

 帯状疱疹とは、水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症の一つで、お腹や背中、時には顔や頭に痛みを伴う湿疹が出現します。ウイルスの名前にある「水痘」とは「水ぼうそう」のことで、子どものころに感染した水ぼうそうのウイルスが神経の奥深くに潜み続け、体が弱った瞬間に、再度活性化してしまうのが原因です。80歳までに3人のうち1人は発症すると言われており、流行時期は夏、特に8月に多いとされています。一般的には、抗ウイルス薬の内服で治療しますが、湿疹が出て時間が経ってしまうと、薬が効かなくなってしまうため、早めの受診がおすすめです。

 しかし帯状疱疹で困るのは、湿疹が治ったとしても、約20%の人は痛みが残り続けてしまうことです。これはウイルスが神経を直接傷つけてしまうのが原因で、「帯状疱疹後疼痛」と言われています。ひどい人だと、服が擦れただけで激痛が走ってしまう「アロディニア」という症状が出てしまいます。

 そんな帯状疱疹ですが、実は日本でも50歳以上であれば平成28年からワクチンが打てるようになりました。ワクチンの種類にもよりますが、良いものでは97%の予防効果が10年ほどは続くと言われています。自費診療のため値段は少々高めですが、興味のある方は検討してはいかがでしょうか?