松江赤十字病院研修医 山森雲太

 9月の1カ月間、飯南病院で研修させていただいた、松江赤十字病院研修医の山森雲太です。地域医療実習ということで、短い期間でしたが、飯南病院のスタッフの皆さんや患者さんがフレンドリーに接してくださったので楽しく過ごせました。地域病院ならではの訪問診療やリハビリなどを学べ、有意義な研修になりました。

 研修中の院内研修会では、「アルコールによる健康障害」と題して発表させていただきました。今回はその内容を簡単にお話ししたいと思います。

 過剰な飲酒による健康被害は、消化器や神経、筋肉、循環器など、全身のさまざまな臓器に及ぶことが知られています。「多量飲酒者の死亡率は、女性で1.6倍、男性で1.4倍となる」という研究結果もあります。アルコールは肝臓などの消化器だけではなく、脳にも大きなダメージを与えることが知られています。急性アルコール中毒などの急性障害だけではなく、意識障害や認知機能低下、歩行障害など、さまざまな障害を引き起こします。このような症状は、治療を始めても回復に時間がかかるものや、治らないものも多くみられます。また、アルコール依存症になると禁酒も難しくなります。

 アルコールによる健康被害を予防するために、厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」を推奨しています。「1日当たりアルコール摂取量20グラム程度までが良い」とされ、お酒が弱い方や女性はこれよりも少ない量が適当とされています。具体的には、1日にビール500ミリリットル、日本酒180ミリリットル(1合)、ワイン200ミリリットル(小グラス1杯)、チューハイ350ミリリットル、焼酎100ミリリットル(グラス半分)となっています。

 この量より多く飲んでいる方は、今一度お酒との関わり方を考えてみてはいかがでしょうか。健康のためにも、飲みすぎず、正しく付き合っていきましょう。