医長 松本賢治

 喫煙と並んで”よくある健康被害”の原因に飲酒があります。年末年始に歓送迎会、花見など、理由をつければいくらでもお酒を飲む機会はあります。でも、お酒ってそんなに飲んで大丈夫なのでしょうか。

 「酒は百薬の長」という言葉があります。この言葉の語源は、約2千年前の中国で皇帝が税金を多く集めるために使ったもので、薬や健康とは全く関係のない言葉だそうです。今では、WHO(簡単に言うと世界中の人の健康を考える組織)が「酒は60種類以上の病気のもと」と表現しています。ただ少量のお酒で、狭心症や心筋梗塞などの一部の心臓の病気にかかりにくくなったという研究結果もあります。

 でも、あくまで”少量”です! それ以上飲むと逆に悪いということも分かっています。では、少量とはどれぐらいの量なのでしょうか。
 お酒に強い人(少し飲んでも顔が赤くならない人)であれば、1日にビールなら500ml、ワインなら2杯、日本酒なら1合、焼酎なら0.5合まで。お酒に弱い人(顔がすぐに赤くなる人)や女性、65歳以上の人は、お酒に強い人の半分で、1日にビールなら250ml、ワインなら1杯、日本酒なら0.5合、焼酎なら0.25合までとされています。もちろん、これもお酒によって体に異常が出ている方は飲まないこと。毎日飲まずに休肝日をもうけることが大切です。

 お酒は、肝臓の病気だけでなく、不眠症や認知症、うつ病、骨粗しょう症、舌癌、乳がん、高血圧、糖尿病、脳卒中などの多くの病気と関わっています。お酒に飲まれず、元気に長く楽しく飲むために、少しだけ飲む量や飲み方に気を付けてみてください。