医療技術部長 竹田和希

 飯南病院医師の竹田です。昨年度、消化器・内視鏡専門医取得しました(宣伝です、アピールです。)。高血圧や糖尿病などの生活習慣病はもちろん、肺炎や尿路感染などさまざまな疾患に対応する総合医として勤務する一方、早期胃がんや早期大腸がんなどの内視鏡治療にも積極的に取り組んでいます。今月は胃がんについてお話しします。

 現在日本人の死因第1位は悪性新生物、いわゆる「がん」です。部位別にみると胃がんはその中で男性の2位、女性の4位と多い疾患です。
 胃がんはピロリ菌と密接な関係があり、その多くがピロリ菌に感染した胃で発生します。ピロリ菌は胃(胃酸)の中でも生息できる特殊な細菌で、感染している人は衛生環境の整備が進んでいなかった世代に多く、80歳代で約70%、50歳代で約30%、30歳代で約10%と報告されています。ピロリ菌には、ほとんどが幼児期に感染し、成人になってからは感染しないと考えられています。また、ピロリ菌に感染すると胃の粘膜に炎症が起きるため、萎縮性胃炎という慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、そして胃がんが発生しやすくなります。

 ピロリ菌がいるかどうかは胃の内視鏡(胃カメラ)で胃炎の変化を観察し、ピロリ菌がいそうな時は、血液検査等で感染しているかどうか検査します。陽性であれば、朝夕1週間の飲み薬で菌を除去します。ピロリ菌の除菌を行うと、胃がんの発生率を下げられます。

 しかし、ピロリ菌を除菌した後でも胃がんは発生するので、ピロリ菌がいる人や除菌後の人は年1回胃カメラによる検査を受けた方が良いとされています。早期の胃がんであれば、手術で胃を切除することなく、胃カメラを使って悪い部分だけ削り取るような内視鏡手術が可能です。内視鏡手術は体への負担がとても少なく、手術前とほぼ同様の生活が送れます。

 胃がんの早期発見・早期治療のため、胃カメラ検査を受けてみようと思う人は、主治医に相談、もしくは飯南病院を受診してみてください。