副院長 三上隆浩

 前回の「口は〝幸い〞のもと」では、これまでになく多くの反響があり、お褒めの言葉?も頂戴しました。そこで調子に乗って、「故事・ことわざ」をもう少し掘り下げてみたいと思います。


 経験と知識の共有によって生み出された多くの「故事・ことわざ」が、日常生活や社会生活においてさまざまな場面で効果的に使われています。「口」や「歯」に係わるものも多く、体の中でも、日常生活の中でも重要な役割を担っていることが分かります。


 【口も八丁、手も八丁】話も上手で、何かをすることも達者なこと。
 「八丁」は巧み・達者の意味。患者さんとのコミュニケーションを大切にして、的確な治療ができる歯科医師でありたいと考えています。
 【口では大阪の城も建つ】口で言うだけなら、どんな立派なことでも言えるというたとえ。その一方で、実際の伴わない治療や「エビデンス」に乏しい治療は、患者さんの利益にならないこともあります。


 さて、この「エビデンス」という言葉は、ある行動や治療法が病気・怪我・症状の予防や改善に効果があることを、単なる経験では無く科学的に示した成果のことで、「科学的根拠」の意味として使われます。「エビデンス」に基づいて、「こうしたら良い」ということが解っているのに実際に十分に行われていないことは、保健・医療においても多く見られます。


 日本歯科医師会からも、口腔保健と加齢・寿命・生活習慣病や非感染性疾患・要介護状態、運動、栄養 、休養・コミュニケーションとQOL、歯科医療の効果の「エビデンス」が示され、歯科健診や口腔衛生指導をはじめ、実際の歯科治療に至るまで、飯南町でもさまざま取り組みがされていますが、「健口」状態はまだまだ十分とは言えません。

 学問の世界では、効果的、効率的に日常の保健・医療活動に取り入れ、住民の皆さんが実践できる方法を開発、検証する「実装研究」なる分野があるそうなので、このことは全国的な課題と言えます。まずは飯南町の取り組みに参加・出席し、町内の医療機関を上手に利用しながら健康づくりを始めてみませんか?