医師 安田勲

 内科疾患と歯周病との関連について、内科医の立場から見た新しい知見をご紹介します。

 口腔内に細菌が多くいる状態が長く続くと、多くの内科疾患が進行し悪化することが知られていました。以下の通りです。

  1.動脈硬化 2・7倍
  2.糖尿病 3・4倍
  3.誤嚥性肺炎 4・5倍
  4.骨粗鬆症 6・3倍
  5.その他 インフルエンザ等の 感染罹患率上昇、認知症の 進行等

 以前から高血圧や糖尿病、脂質異常症等の基礎疾患がないにもかかわらず、著名な動脈硬化(若いのに心臓の冠動脈がボロボロ)を認める患者さんがいることが知られていましたが、その原因の一つが腸内細菌叢の乱れや口腔内の細菌の多さに由来することが分かってきています。

 その知見に基づいて、10数年前から歯周病と糖尿病の悪化との関連や動脈硬化の進行(脳梗塞や心筋梗塞等)との関連が広く知られるようになっていますが、先日ホットな知見として、アルツハイマー病の進行と歯周病との関連とそのメカニズムの解明について、マスコミで紹介されていました。

 歯周病をコントロールして口腔内の清潔を保つことの重要性が知られるようになって、虫歯や歯周病の治療や予防だけでなく、全身の病気の進行を予防するためにも歯科を定期的に受診して、口の中をチェックしてもらい、清潔に保つことが勧められています。

 「かかりつけ医」に加えて、「かかりつけ歯科医」を持って、動脈硬化や糖尿病等の全身の病気や認知症の進行を予防して、元気で長生き・健康寿命を延ばしましょう。